信頼関係構築:ラポール
ラポール形成の「ラポール」とは、フランス語で「架け橋」という意味です。 自分と他者との間に橋を架けるように信頼関係を築き、良好な人間関係を保つことを指して用いられます。 ただしラポール形成は、自分が相手を信頼したり、よい関係が築けていると感じたりするだけでなく、相手も同様に感じていなければなりません。
from https://www.m-keiei.jp/musashinocolumn/management/rapportformation
つまり、ラポール形成とは心理学用語における「信頼関係構築」という意味なのです。
ラポール形成の3つの原則
ラポール形成の際には3つのテクニックがあります。
ミラーリング
ミラーリングとは、簡単に言えば相手の真似をするだけで簡単に相手の信頼を得ることができるというテクニックです。
ミラーリングとは、先述したように相手の警戒心を取り払い、安心感や親近感をつくり、無意識レベルで、深い信頼関係を築くコミュニケーション技法の一つです。 その技法を一言でお伝えすると、相手の動作や静止しているときの手足の位置、また呼吸などを、まさに鏡のように合わせていくというやり方です。 本人も気づかないほど、心がオープンになり、知らず知らずのうちに「この人なら、ここまで話してもいい」と感じてしまうような状態が生まれます。
from https://life-and-mind.com/nlp-mirroring-4657#i-2
あくまでもこのテクニックの目的は相手の信頼を得るためであり、情報を抜き出すテクニックではないことに留意しておいてください。
ここでまねるべき点は以下の通りです。
- しぐさ(相手が足を組んだら足を組む。同じ飲み物を飲んだら同じタイミングで飲む)
- ワードチョイス(相手が使った言葉で会話を行う)
- 会話のテンポ
とにかくありとあらゆる内容を、自分が対象者の鏡であるかのように真似してください! そうすれば、相手との信頼関係が気づけるはずです。
バックトラッキング
バックトラッキングとは、別名オウム返しとも言われます。
「相手のしゃべった内容を、そのまま返す」というテクニックです。
簡単な例だと以下のような会話です。
- 相手 :「この前、高校の同窓会に行ってきたんだよ」
- あなた:「高校の同窓会に行ったんだ」
この場合は「高校の同窓会に行ってきた」という内容をそのまま返しています。
ちなみに、内容や相手が伝えたい内容であれば、少し言葉を変えても問題ありません。
- 相手 :「この前、高校の同窓会に行ってきたんだよ」
- あなた:「高校の同窓会に行ったんだ」
要は、相手が伝えたいと思った内容を「こちら側にも伝わっているよ」ということを伝えてあげるのです。
「自分が伝えたかった内容が相手にちゃんと伝わっている」「この人はちゃんと話を聞いてくれる」と思わせることで信頼関係を結べます。
ラベリング
ここでは先ほどの二つの例と異なり、少し難易度が上がります。
ラベリングとは、個人のペルソナに対して「あだ名」みたいなものを貼り付けていく作業です。
信頼関係構築の際には、相手が望んでいる「ペルソナ」あるいは「なりたい姿」を的中させて、それにふさわしい「名前」を当てはめることで「この人なら自分をわかってくれる」と思ってもらうことができます。
ですが、このラベリングテクニックを使う際には二つの力が必要となります。
- 「相手が望んでいる姿」をズバリ的中させる観察力
- 失礼に当たらないふさわしい「あだ名」を充てる語彙力
この二つが必要不可欠です。
このラベリングテクニックを使用する前に、どのように成立しているか見てみましょう。
ラベリングの具体例
ラベリング理論は、社会が個人または特定のグループにラベルを割り当てると、彼らの行動に影響を与える可能性があることを示しています。 この理論は、社会学、犯罪学、および心理学に関連して、誰かを犯罪者としてレッテルを貼ることが悪い行為につながる可能性があることを示しています。
from https://study.com/learn/lesson/labeling-theory.html
「女の子なんだから、◯◯◯しなさい」
「男の子なんだから、◯◯◯でなければいけない」
この、性別で差を付ける(ジェンダー)も、実はラべリング効果の一種です。男の子に生まれたのだから、重い荷物を持てなければいけない、女の子に生まれたのだから殴り合いのケンカをしてはいけない……など、性別によって決めつける言動は、立派なラベルを貼る行為です。
from https://biz-shinri.com/dictionary/labeling
これらのようなラベリングテクニックは、話し手が一方的に無意識に使った「悪い例」です。
ラベリングをうまく使った例
そうではなく、傾聴において繊細にコントロールされたラベリングを使用することで、信頼関係の構築「ラポール形成」につなげることができます。
- 相手 :「実は、仕事で失敗してしまったんだ。上司にも怒られたし、将来に不安を感じているんだ。」
- あなた:「仕事で失敗して上司に怒られたんだね。将来に不安を感じる気持ちは分かるよ。問題を発見して改善したいんだね。」
- 相手 :「そうなんだ。でも、このままじゃいけないと思っているんだ。何かアドバイスがあれば教えてほしい。」
- あなた:「自分で解決しようとしている姿勢はさすがだね。問題を発見して、しかも解決しようとするのはすごいよ。そんなOOさんに対してできることは少ないかもだけど...是非詳しく聞かせてくれ!」
- 相手 :「ありがとう!うれしいよ」
このように、ラベリングテクニックを用いることで、相手の感情や意見を的確に捉え、相手との共感を深め、信頼関係を築くことができます。